おつかれさま、かぷちーとです。
今回は映画『新感染半島 -ファイナル・ステージ-』のレビューと解説を書きます。
前作『新感染』はゾンビ映画の傑作だとレビューしました。
でも、続編の『新感染半島』はスケールは大きくなりましたが、間延びするような”いらないシーン”が多い微妙な映画です。
技術的にも悪いところが目立つので、目が肥えた人には気になる要素があります。
あと、上映時間が2時間近くあります。
こんなに長い映画である必要はなかったです。
今回は”常識”という言葉を軸に、主人公のジョンソクの成長と葛藤を描いています。
その軸はよかったんだけど、周りを固めるキャラクターは興味深くないし、狂った悪役たちも”ただ狂っているだけ”で面白味がありませんでした。
この記事は映画『新感染半島 -ファイナル・ステージ-』を視聴済みの方に向けたレビューです。未視聴の方はご覧にならないようお願いします。
製作キャストとキャラクター解説
監督 ヨン・サンホ
代表作『新感染』『サイコキネシス -念力-』
前作は”映画のテーマ”をシンプルに描いた分かりやすい映画です。
今作も同様、物語はシンプルでわかりやすい内容です。
でも、前作にあった魅力が『新感染半島』にはありませんでした。
良くも悪くも教科書通り映画をつくる監督です。
教科書通りと書くと語弊がありそうです。
でも、その通りに作品をつくることは簡単ではありません。
気になったシーンは、夜のシーンが多いんだけど、みやすさを追求したために、照明弾を打ち込まなくても明るいです。
車のライトはゾンビに気づかれる恐れがあるから消しているんだけど、実際夜にライトをつけないで走ることは非常に危険だと思います。
でも、映画の中では放置された車など気にせず猛スピードで駆け抜けます。
出演 カン・ドンウォン
元軍人でイケメン、ジョンソク
『新感染半島』も前作同様主人公の成長をメインにしています。
今回は”常識”というセリフが多いことからも分かるように、それが映画のテーマです。
危機的状況や、安全のために誰かを見捨てたり、逃げたりする場面があります。
その危機的状況において、他人よりも自分を優先するという”常識”に対して、”どう対処したか、ベストを尽くしたか”を課題としています。
姉を救うのも、義兄を救うのも、一度見捨てた女性を救うのも、もっと努力できたんじゃないのか、もっと選択肢があったんじゃないのか、後悔の念はジョンソクを苦しめ続けます。
そして、最後にはハッピーエンドを迎えます。
イ・ジョンヒョン
娘たちのために戦う母親、ミンジョン
過去にジョンソクに見捨てられた女性です。
ジョンソクが見捨てたことに対して、あんな状況なら見捨てるのが”あたりまえ(常識)”と思っています。
娘たちのために犠牲になろうとする、ラストのシーンは正直”クサい演出”で嫌いです。
カーチェイスの辺りから酷さが際立ちます。
詳しくは感想で書きます。
役者がどうこうではないのです。これは監督の問題です。
キム・ドゥユン
イカレタ連中によってイカレタかと思った義兄、チョルミン
チョルミンが半島に行くメンバーに選ばれた理由が分かりませんでした。
元タクシードライバーの女性と、元軍人のジョンソクは分かります。
でも、もう一人ヘラヘラしてる男とチョルミンを選んだ理由が謎です。
とりあえず、ゾンビから逃げられる脚力と強運の持ち主です。
自分の安全を優先する”常識”よりも、恐怖でいっぱいの頭を叩いて”精一杯のベストを尽くします”。
”映画のテーマ”は一貫しています。
イ・レ
一人ワイルドスピード、ジュニ
姉妹のおねーちゃんの方、どこでその運転技術を身に着けたのか。
SUVがあんなグルん!ビタッ!と止まってハイスピードで駆け抜けるなんて知らなかったよ。無理だよ。
イ・イェオン
姉に劣らず一人ワイルドラジコン、ユジン
姉妹の妹の方、ラジコンで誘導するのは中々面白かった。確かにあれは便利。
ゾンビが現れた時のために覚えておきましょう。
クォン・ヘヒョ
師団長?おじいちゃん?結局なにもの?、キム
肉親なのかイカレていたのか分かりませんが、孫のために犠牲になる師団長。
キム・ミンジェ
いかれた軍曹実質的リーダー、ファン軍曹
最後まで追いかけてきたがやむなくゾンビに喰われてしまいました。
勘が鋭いとか、ねずみ男みたいなヤツに警戒されていましたが、全くのアホでした。
ク・ギョファン
ヘタレ、ソ大尉
漁夫の利を取りに行きました。
知恵はめぐるようですが、チキンです。
「あいつら、噛むしなぁ...」
『新感染半島 -ファイナル・ステージ-』の感想と考察
『新感染』の続編『新感染半島』は全く繋がりのない、前作の魅力を失ったB級ワイルド・ゾンビ・デスロードです。
主人公の成長物語は前作と同じで、非常にわかりやすく一貫性のある映画です。
”映画のテーマ”がぶれて、あっちにもこっちにも手を出す映画が多い中、『新感染半島』はそういった意味では優秀な作品でした。
でも、残念ながら多くのキャラクターに魅力がなかったし、前作のファンが期待していた”過去作との繋がり”もなかった残念な続編です。
魅力的なキャラクターとは
おもしろい映画において脚本は重要な要素です。でも、脚本がひどくてもカバーできる要素はキャラクターしかありません。
『新感染半島』と『新感染』を比較すると、思い入れのあるキャラクターがどれだけいたでしょうか?
たとえば、悪役はどうでしょう。
前作での悪役といえば自分のことばかり考えているウザイおっさんでした。
でも、彼は主人公と同じ生き方をしている”賢い人”でした。
主人公が成長する、あるいは”人間性”を取り戻す姿と、うまい対比になっています。
おっさんがいなければ”賢い人”と”馬鹿な人”の対比はあれほど綺麗に繋がらなかった。
あるいは、仲間のキャラクターはどうでしょう。
確かに今作でも主人公の成長を促す役割を担ってはいます。
でも、仲間のよさを引き出す手段があまりにも少なかったようです。
たとえば、『新感染』の主人公と”生き方”が正反対なマ・ドンソクが、主人公にはない”生き方”を表現することで、彼の魅力は輝きます。
その”生き方”に感化された、男子高校生のチェ・ウシクや主人公のユン・ユは3人で力を合わせて難関を突破していきます。
それぞれのキャラクターに魅力がなければ、ゾンビに噛まれた時や、誰かのための犠牲になったシーンでも”何も感じません”。
マ・ドンソクが犠牲になるシーンと『新感染半島』のおじいさんを比べれば一目瞭然です。
きっとラストの母親が犠牲になっても同じ気持ちだと思います。
前作どうよう予想を超える”驚き”がない
私はこの映画をみるとき、どうしても前作の期待をむねにみてしまいました。
だいたい2作目はダメだと分かってはいるのですが、「『新感染』の丁寧な映画作りに”驚き”があれば最高だよね。」なんて期待したのがいけませんでした。
『新感染半島』はどちらかと言えば嫌いな映画です。
最後に
私は”映画のテーマ”がちゃんと視聴者に伝わる作品が好きです。
そこに魅力的なキャラクター、魅力的な演出があれば最高です。
『新感染半島』で”映画のテーマ”は伝わりました。でも、キャラクターは酷いし、映像も酷いです。
面白かったのは最初の船のシーンだけです。
何も考えず”無能”でみればそこそこ楽しめます。
是非前作をみないで、先に『新感染半島』をみてください。
それから『新感染』をみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
堅苦しい文章なのは許してください。
では、またの機会に。