おつかれさま、かぷちーとです。
今回は映画『アナイアレイション -全滅領域-』のレビューと解説を書きます。
生物学者で退役軍人のレナ(ナタリー・ポートマン)が、不可解な現象が起こる謎の領域”エリアX”の調査隊に志願します。
それは、”エリアX”に派遣され行方不明になっていた夫のケイン(オスカー・アイザック)が、帰還後に意識不明の重体となったからです。レナは以前のケインとは”別のなにか”を感じます。
映画の結末をみて色々考察できる興味深い作品です。
私はこの映画のテーマを”細胞”ととらえます。詳しい内容は下記に記載します。
この記事は映画『アナイアレイション -全滅領域-』を視聴済みの方に向けたレビューです。未視聴の方はご覧にならないようお願いします。
製作キャストとキャラクター解説
監督 アレックス・ガーランド
代表作『エクス・マキナ』『28日後...シリーズ(脚本)』
今回は”シマー(光)”という謎の現象を追う映画です。
なので、光の映し方がとても幻想的です。
反射や屈折を利用して、美しく怪しく見せてくれます。
とても奇妙な演出が多く、トラウマ要素もあって、雰囲気作りはよかったです。
出演 ナタリー・ポートマン
退役軍人であり生物学者、レナ
主人公で勇敢な人物、夫が戦地に向かうたび寂しい思いをします。
ただ、その寂しさを紛らわすために同僚の男性と肉体関係を持ちます。
ジェニファー・ジェイソン・リー
心理学者でありシマーへの派遣を担当した、ヴェントレス博士
自身が選抜した人間が帰還しなかった事に対して少なからず負い目を感じています。
今までの犠牲を考え、”調査”に対して貪欲になっている印象をもちました。
たとえば、仲間がワニに襲われている時、彼女は静観しています。
灯台で「シマーの現象は世界中に広まり、今あるものを全て滅ぼす」と語った。
ジーナ・ロドリゲス
どう見ても戦闘員にしか見えない医療隊員、ソレンセン
ぼっちのレナを仲間に加えてくれる姉御です。
レズビアンで仲間思いです。
でも仲間を思うあまり、クマに襲われたシェパードの事と、先遣隊(せんけんたい)のビデオに写っていた男(ケイン)がレナの夫と知って、信用を失い錯乱してしまいます。
テッサ・トンプソン
お花になった物理学者、ラデック
領域の中では”DNA細胞”、つまり動物や植物など、全ての情報が”光のプリズム効果”で歪んでしまい、異形の生物や現象に繋がっている事を発見します。
ツヴァ・ノヴォトニー
仲間の中立的な立場であった人類学者、シェパード
最初に”トラウマクマぁー”の餌食になる女性です。
特に活躍することなく退場されてしまったが、彼女のお陰で関係の薄いメンバーが支えられていた事がうかがえます。
オスカー・アイザック
レナの旦那で領域からの帰還者(?)ケイン
帰還した彼はおそらくシマーの影響で”産まれた(複製された)ヒト”です。
不完全だったため重症化しましたが、シマーの領域が消えてからは復活します。
復活した理由は語られていません。
ベネディクト・ウォン
領域からの帰還者レナを尋問した、ロマックス
『アナイアレイション -全滅領域-』の感想と考察
私の感想は考察を交えて記載しています。なので、まずは物語の大筋の流れを書いてから、順番に解説します。
簡単な物語の解説
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隕石にシマー(細胞型エイリアン)が張り付いたまま灯台に到着。
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灯台から地球の動植物の遺伝子、DNA細胞を調べ複製と模倣を繰り返します。
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DNA(遺伝子細胞)を持つあらゆるものと”共生”してしまう為、本物と偽物の境界が薄れていく。あるいは不安定な模倣から奇妙な生き物になります。例えば、ついになる存在として鹿が登場します(完璧な複製)。あるいはトラウマモノ級のクマ(複製が未完の生き物)がいます。
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ケインについて、帰還した彼はケインのDNAを”模倣したナニカ”です。その”ナニカ”が完璧に模倣された時、彼は”本物”となにが違うのでしょうか?
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レナを模倣したシマー(細胞型エイリアン)は攻撃されたから攻撃しかえします。シマーは簡単にいえば”生物の模倣をするだけの存在”です。その”模倣”は完璧な精度をいずれ手にします。シーマーか人間かどちらかが”対消滅”するのは間違いないようです。
光(シマー)とは
人間が想像したり”目撃した”と言われている”エイリアン”は、どことなく人間や動植物に似ていて、写真や映像として世の中に出回っています。
でも、『アナイアレイション』に登場するシマーの領域を作ったのは、”細胞型エイリアン”です。『スパイダーマン』に登場する『ヴェノム』みたいなやつです。
隕石が落下した灯台で”細胞型エイリアン”は地球のDNA細胞と同化と複製を繰り返し、自身の領域を拡大していきます。
ソレに何の意味が有るのかは語られていません。
”同化”と言われると”得体の知れない恐怖”があります。
でも、『宇宙戦争』みたいに地球を乗っ取るのが目的ではなく、”ただ単純に、細胞として行動を全うしている”ような感じです。(赤血球と白血球みたいな)
もしもシマーが人間を完璧に複製できたら
想像力をもち、”良き心”も”悪しき心”も持ち合わせているのが人間です。
シマーが人間を完璧に複製できるようになれば、シマーは人間を支配しようと思うかも知れません。
なぜなら”支配”しようなどと考えるのは”人間”しかいないからです。
レナが対峙したシマーは人の模倣をするだけの存在でしたが、もしも完璧に人間を複製することができたらどうでしょう?感情や知識も全て。
私はどちらが”本物”か見分けがつかないように思えます。
そして、”妬み嫉み”を持つ人間に複製した時、シマーが地球を支配しようと考えるのもそう遠くない気がします。
レナが帰還したあと、彼女の瞳とケインの細胞がシマーの存在を予感させます。
原作を知らないのですが、この作品は3部作らしいのでどの様な結末なのか楽しみです。
最後に
レナとシマーが抱きしめ合ったのは愛を模倣しています。いずれは”本当の愛”に変化するかもしれません。
でも、本物のレナとケインはすでに”模倣の愛”でした。
これらは物語の最初と最後の対比になっています。
アレックス・ガーランド監督の『エクス・マキナ』は、機械と人間の差異を表現してましたが、『アナイアレイション-全滅領域-』では生物の差異を表現していました。
どちらも”面白い映画”なのでおすすめです。
人間が特別だと感じるのは愚かで傲慢だなと、興味深い作品でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
堅苦しい文章なのは許してください。
では、またの機会に。