おつかれさま、かぷちーとです。
今回は映画『プラットフォーム』のレビューと解説を書きます。
上の宣伝画像はまるで、”料理が都市のようです”。
上の者が下の者の分まで食べ、糞をつけ、唾を吐きます。そして残ったわずかな食糧の為に人々は醜く争います。
これは分かりやすく"貧富の格差社会"を表している。
もし、他人に情けをかけて、上の階層の人々が遠慮すれば、皆平等に食べられるし生き残ることができます。
しかし、結果は”あきらかだ”美しい都市(料理)は潰され、なにも残りません。
「些細な事で人生は変わるかもしれない。」
トリマガシは”サムライ・マックス”を使えば人生が変わるかもしれない。そう思って行動します。
しかし、ほどなくして新作の”サムライ・マックス”が登場します。包丁を研ぐことをしてこなかったから、人生つまらないのかもしれないと購入したのに、新作ではなんと研がなくても切れ味がかわらない”イイモノ”に進化しています。
それをトリマガシは裏切られたと感じ、信じることをやめます。行動に対する対価も期待しておりせん。
些細な行動で”なにか”をかえられるのか、この映画ではあらゆる局面で登場します。主人公のゴレンとトリマガシは似ているようです。他のキャラクターもそうです。
そして、最後にハッピーエンドを迎えられたかどうかは想像の域を出ません。
この記事は映画『プラットフォーム』を視聴済みの方に向けたレビューです。未視聴の方はご覧にならないようお願いします。
製作キャストとキャラクター紹介
監督 ガルダー・ガステル=ウルティア
生物が生きるために必要な”食”をテーマに、格差社会に対する”社会風刺”も描いています。
施設の作られた理由は物語では語られません。続編が決まると理由なんてものを作ったり、後づけの設定を無理やり物語に組み込みます。『キューブ』がいい例です。
そうなると途端に面白くなくなるので、考察できる程度で十分です。
映画の技術・手法について
妄想と現実を行きかうシーンが多様で、実際にどうなったかのか明確でなかったのが、少し残念です。
映像は真っ赤になるシーンを除いてとても観易かった、音楽にしても必要な効果音だけで雰囲気ができています。
出演 イバン・マサゲ
本を持ち込んだカタツムリ、ゴレン
ソリオン・エギレオール
「明らかだ」が口癖のヤバい人、トリマガシ
『プラットフォーム』に出てくるキャラクターの中で最も輝いている人物。
ゴレンに返り討ちにあっても彼の中(物理的な意味で)で生き続けている。
最後333階層よりも下の階にゴレンを導いた。その後ゴレンがどうなったのか、子供がどうなったのかは分からない。
個人的な見解ではゴレンは死んだのだと思う。宗教的に言えば召された。
アントニア・サン・フアン
犬を連れ込み自殺する、イモギリ
ゴレンを面接し、彼と同じく志願した数少ない人物。最後に自ら癌に侵されていることを告白する。
面接では何も知らなかったとは言うが、酷い連中ばかりを採用していたのなら、何となく分かっていたんじゃないのかな?でなければ……。
彼女の目的が良く分からなかった。もう死ぬから自分の送った人々を救いたかったのか、システムを壊したかったのか、罪悪感を抱いていたのか。
人の良心が伝染すると信じていたはずなのに、可哀そうな結末を迎えます。
エミリオ・ブワレ
上を目指す信者、バハラット
神が答えた!神がおっしゃった!
「どんな声だよ今考えた自分の言葉だろ」と思ってヤバいやつかと思ったけど、最後までゴレンを信じて一緒に戦ってくれます。
しかも333階層で待つ子供に”完璧なパンナコッタ”を与えた。
とってもイイやつ。
アレクサンドラ・マサンカイ
人肉大好き生肉大好き、ミハル
謎に包まれた美女です。
無口でなにを考えているか全くわかりません、”食卓”に乗って下に移動しながら人肉を食べます。犬も食べます。
様々な噂があり、自分の息子を探していると言われてますが、面接をしたイモギリいわく、「彼女は女優で1人で来た嘘つき。」
それに16歳以下の参加は禁止で子供を探しているわけがないと言っていました。
ところが、333階層の子供(抗議の証明)が居る事が明らかになったことで、もしかしたらミハルはこの施設の秘密を暴いていたのかもしれません。
個人的考察ですが、彼女は狂ってはいたが主人公と同じく上の人間(管理者)に、抗議の意思を伝えたかったのかも。
『プラットフォーム』感想と解説
”シュチュエーション・スリラー”として良くできています。気になるところがいくつかありましたが、登場人物は魅力的だったし、音楽や撮り方もよかったです。
ストレスなく作品に没頭できました。
それに、物語の”テーマ”に共感できたので私は好きな作品です。
人間の”醜さ”と”美しさ”両面を描いた作品は、”希望”だけ”絶望”だけの映画よりも、興味をそそられることが多いです。
現実社会から切り離した”映画”というエンタメであっても、”真理”を探究するのは面白いです。
神様を信じるか
この映画は信仰心を煽る演出もあり、熱心な方には受け入れてもらえないかも。
物語後半に出会う相棒バハラットは、信徒かは分かりませんが上の階の白人から、黒人がいう”神”が一緒であることを馬鹿にされます。
"唯一神"の声を聞いて上の階層にロープを渡すシーンがあります。私には、バハラットが自分の願望を神の代弁者として語ったように思えます。
白人至上主義というか、人種差別ともとらえられる。演出でしたね。
ところで、私のお気に入りのシーンは、途中であったバハラットの師匠(先生)です。
「まずは対話」聞かなかったら「殴れ」
キッチンの謎
キッチンでコックを指導しているボスの様な人物は、”パンナコッタ”に髪の毛が混入していた事に激怒していました。
彼が”プラットフォーム”の存在を知っているのかどうか分かりませんが、どうせ踏まれ、糞をまかれ、唾を吐きかけられる料理に、そこまでの価値があるのでしょうか?
完璧な料理を提供し、皿を割らず残飯もなく美しく完食する事が、答えだったのでしょうか?ゴレン達の思う”抗議の意思”をどう受け取ったのか。
管理者の求める答えが何だったのか、気になるところです。
最後に
333階層で完璧なままの”パンナコッタ”を階層に持ち込んでも、熱くもなく寒くもない部屋でした。(部屋に食べ物は持ち込めないはずです)
”管理者”が彼らの行動を把握していたのであればゴレン達の行動は無駄ではなかった...のかもしれません。
真実がどうこうよりも「あーでもない、こーでもない」考察を楽しめる映画でした。
もしも続編で謎を解明していまったら、その映画の結果は「あきらかだ」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
堅苦しい文章なのは許してください。
では、またの機会に。