おつかれさま、かぷちーとです。
今回は映画『闇はささやく』のレビューと解説を書きます。
あらすじ
マンハッタンで暮らすキャサリンと夫のジョージ、そして娘のフラニーは、ジョージの仕事の都合で引っ越しをすることになります。
キャサリンは田舎での暮らしに不安を抱きつつ、納屋付きの19世紀後半に建てられた立派な家を買い、外壁や内装を綺麗に手を加えます。
そして、その手伝いとして青年エディとその弟のコールを使用人として雇い、少しずつ田舎暮らしになれていきます。
しかし毎晩、寝室で眠りにつくとガス漏れの様な匂いが漂い、フラニーの部屋では電球が点滅するなど怪奇現象がおこります。
次第にエスカレートした現象は、クレアとフラニーに女性の霊を見せ、恐怖を与えます。
夫のジョージは妻子の話に耳を傾けず、心霊現象に対して否定的です。
さらに、妻の目を盗んではウィリスという若い女性と関係を持ちます。
ジョージは評判のいい大学教授となり順風満帆。
妻子の恐怖とは裏腹に新たな生活に満足していました。
でも、妻のヒステリックな態度と、神秘主義的な信仰を持つ田舎の友人関係に対して納得が行かず度々衝突します。
互いに信頼関係が崩れ、キャサリンは家の秘密と夫の秘密に迫ります。
おかしいのは妻か、夫か……。
なんとも微妙な映画です。でも、ホラー演出は好みです。
原作を読んでいないと面白さが伝わりづらい印象をもちました。
キャラクター解説でストーリーの大半を説明します。
この記事は映画『闇はささやく』を視聴済みの方に向けたレビューです。未視聴の方はご覧にならないようお願いします。
製作キャストとキャラクター解説
監督 シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ
代表作『私がクマにキレた理由』『アメリカン・スレンダー』
出演 アマンダ・サイフリッド "キャサリン・クレア"
摂食障害を持ち信仰心を持つ妻です。
まさか主人公が惨殺されるとは予想できませんでした。
でも、作品の主人公と敢えてあげるのならば無惨な死を遂げた女性たちです。
新居で手に入れた指輪は前夫人のエラがはめています。
おそらくその前も、その前も。
家の歴史を調べるクレアは最初の家の持ち主、スミット夫人も謎の死を遂げている事を知ります。
エラはキャサリンを導く良い霊でしたが、残念ながらジョージ(達)には敵いませんでした。
「地獄落ち、私たちは霊となり力を得た。小さな滴は集まり果てしない海になる」
ジェームズ・ノートン "ジョージ・クレア"
元画家(無職)で大学教授です。どちらかといえば現実主義な夫です。
まず、彼はキャサリンと会う前従兄弟のヘンリーを殺しています。
そして盗んだ日記と絵画を使い生活します。
ヘンリーの才能を乗っ取ったわけですね。
唯一キャサリンが誉めているのは絵画だけで、ジョージの執筆に関しては触れていません。
いかにジョージが薄っぺらい男性であるかがわかる、素晴らしい表現です。
「キャサリンとは美大で知り合った(?)」と言いますが、田舎町の図書館で芸術を調べていた女性、ウィリスと身体の関係をもったように、キャサリンともそんな関係で子供を作ったのかも知れません。
クズ男ほど女にモテるとはまさににコレのこと。
エラ(いい霊)はキャサリン(善人)につき、カル(悪霊)はジョージ(悪人)につきます。
「邪悪な魂(悪霊)は邪悪な心(悪人)にしかつかない」
ナタリア・ダイアー "ウィリス・ハウエル"
図書館でジョージと出会いエディとは友人です。
言葉ではクソ野郎のジョージを拒絶しますが、悪人の魅力に負け何度か身体の関係をもちます。
そこまで重要なキャラクターではない様に思えます。
アレックス・ニューステッター "エディ・ヴァイル"
元家主の息子でありクレア家の使用人で、弟を大学に行かせるために頑張る良き青年です。
ジョージの事をウィリスから知った後に出てくる薪割りシーンは、ミスリードとしてもに良い演出でした。
ジョージからの口止めを守るあたりから信用できる人物だと思いました。
母の面影(実際取り憑いているのだから当然)をキャサリンに重ねます。
マザコンだったわけです。
レイ・シーホン "ジャスティン・ソコロフ"
全ての謎を知った女性です。
ジョージの行動に不信感を持ったために、車で崖に落とされてしまいます。
キャサリンの死後、入院中のジャスティンの前に現れて昏睡状態から生還します。
そして、不運な最後を遂げた女性達の魂を受け継ぎ真実を語ります。
非常に神秘主義的なキャラクターで”ありがちな田舎の住人ポジション”でした。
でも、夫のジョージの方が”ヤバい奴”だと分かると印象が変わります。
やっぱり演出だけなら個人的に素晴らしいと映画です。
『闇はささやく』の感想と考察
『闇はささやく』のテーマは”無惨な死を遂げた女性たちのリベンジ”です。
そして、妻と夫の繰り返される惨劇です。
演出に凝りすぎてしまった故に上手くいかず、説明が足りない非常に勿体ない作品でした。
物語の伏線は色々と用意されていましたね。
でも、どれも残念ながら印象に残りませんでした。
物語の伏線
冒頭で教授からプレゼントされる本には”死の影の谷”の絵が描かれています。
これは、ジョージの最期を暗示しています。
あと、美術館で学生に絵の説明をするシーンでは、絵画のボートに乗った人物が舵を取るのを辞めた理由について語っています。
カメラが遠目だったから分かりにくかったんだけど、実際ジョージが嵐の中舵を取るのを辞めまていす。(若い男の自信の喪失)
ジョージを地獄へ導く女性たちの霊から抗うのを諦めたエンディングです。
なぜこれら伏線がうまく伝わりずらかったのか。
それは、映画の前半と後半でテイストが違うからです。
前半と後半の違い
前半はスリラー要素が多くて、「人間って怖いよねー」と思う展開を上手に演出しています。
でも、今作はスピリチュアルな内容なので、前半に慣れていると後半の展開についていけません、そこが急展開と感じる部分です。
盛り込みすぎたのかもしれません。
なので難解なエンディングになっています。
エンディングについて
ジョージがボートに乗った理由ですが、おそらく放置されていたボートの持ち主はヘンリーです。
ボートで何処へ行くのかの説明がないので想像の範囲で記載します。
ジョージはジャスティンが目を覚まし、メモが届いたことで真実が明るみに出ることを恐れます。
あるいは、女性の霊たちが、自分たちをおとしいれたジョージ(ジョージに憑く悪霊)をボートにいざなったのかもしれません。
ジョージは上記に記載しましたが、”伏線通り自信を喪失した男”になり地獄に落ちます。
ホラーの演出がとても好みだった
最後に
派手さはないし、突然終わらされてしまった感じがします。
人を選びそうな作品とも、つまらないとも、面白くないとも言い切れない、なんとも歯切れの悪いホラー映画でした。
原作を知っていたら情報量が違うので細かな設定が分かったのかもしれません。
でも、映画化されているいじょう、映画しか知らない人でも楽しめる作品にするべきだと私は思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
堅苦しい文章なのは許してください。
では、またの機会に。